夏の京都、金閣寺・龍安寺の続き。時間的には金閣寺に行く前、同じ日の午前中。
朝一番は観光タクシーの運転手さんオススメの山科 毘沙門堂へ。
毘沙門堂は七福神の毘沙門天をご本尊とする天台宗の門跡寺院。
タクシーの運転手さん曰く、ここには狩野探幽の養子で駿河台派の始祖狩野益信作の襖絵(ふすまえ)が見どころになっているが、何の説明もなく訪れると5分で終了するとのこと。確かに説明なく見ただけでは普通の襖絵。
ところがこの襖絵は逆遠近法など様々な手法を用いて描かれたトリックアートになっているので、
「はい、この位置に立って老人が本を読んでいる机に積んである書物を見てください」
「次に、ここに移動してその書物を見ると・・・あ、全然書物の高さが違う」(言葉で説明してもいまいちか)
こういう襖絵が全部で100枚以上。もちろん全部は見ていられないが、トリックアート美術館に行った気分。
ここはJRのコマーシャルに採用されて、大勢の人が訪れるようになったそうだ。下がその観光ポスター。
ここが同じ場所らしいが、当然この時期は緑が一杯。
タクシーだとここまで上がってくることができるが、道が狭いため観光バスだと結構離れた場所で降りて歩いてくることになるそうだ。
看板には「毘沙門堂門跡」。何も知らないとこれは毘沙門堂の門の跡?なんて勘違いしそう・・・
これは皇族・摂家などの出身者が住職を務める寺院のことで「門跡寺院」と言われるもの。宇多天皇が出家して仁和寺に入室したのが門跡のが始まりとされているそうだ。
さらに、この泥土をつき固めた築地塀の白い水平線を定規筋と呼ばれ、この本数が格をあらわすそうだ。
ここの壁には5本引かれているが、この5本が最高格で門跡寺院や由緒寺院など権威の象徴とされているそうだ。
こうして説明されるまで、寺院の壁の白い線の本数なんてまったく意識したことがなかったが、このあと訪れた金閣寺の壁を見ると5本。
そして龍安寺も5本。
さらに昨年秋の写真で壁が写っているのを探してみる。
通天橋の紅葉を見る人の列ができている東福寺の壁にも5本線。
これは紅葉の参道がきれいな長岡京市の光明院。ここも5本線。
境内の雰囲気と紅葉がすごく良かった真如堂(真性極楽寺)も5本線。
これらの写真を撮った時はまったく意識していなかったけど5本線だった。
5本以外に3本、4本もあったそうだが、壁を塗り替える時に消してしまう寺院が多いらしくほとんど残っていないとか。
このあと昼は祇園でタクシーの運転手さんお勧めの店で京懐石をいただき、次は白川、巽橋付近へ。
この巽橋は昔は木橋だったそうだが、いまは欄干のみ木製。
このあたりはお茶屋などの家並みが保存されていてよくドラマの場面に出てくるそうだ。
巽橋を渡って祇園の方向、京都らしい通り。
ここで写真を撮ってもらっていたようだが、レンタルの着物を着て舞妓姿になって写真を撮ってもらうサービスがあるそうだ。
新橋通の京町家。このあたりの街並は市の特別保全修景地区、国の伝統的建造物群保存地区に指定されているそうだ。
京町家は間口が狭く奥行きが長いため「うなぎの寝床」と呼ばれる。
下が奥の方から入り口方向を見たところ。長いというより全然別な家のように思える。
この間口が狭く奥に長い造りは三間の間口を1軒として課税する秀吉の税制に対抗した形状なんだそうだ。
上に書いた内容などは観光タクシーの運転手さんが現地を回りながらその場で説明してくれるのですごくわかりやすい。ちなみにタクシーの駐車代は客の負担だが運転手さんの寺院入場料は無料。
この日お世話になった都タクシーの森田さん。かなりベテランという印象。
1日目の猛暑に懲りて、2日目は観光タクシーにした。
この酷暑の中、30分1660円で快適なタクシーで観光地を回りながら説明もしてくれるので、思った以上に快適だった。財布にはちょっと・・・(汗)。